これは、面白かった。ミステリー好き、しかもバイオレンスではなく、理屈っぽい謎解きが好きな私としては、文句なしの佳作。
無罪を勝ち取るという弁護士と、自己防衛のための猜疑心のかたまりのような金持ちの依頼人。
愛人を殺した疑いが掛けられている絶体絶命の依頼人が、弁護人と駆け引きをしながら次第に真相が暴かれていくという流れ。
人は嘘をつくものであるし、まして自分が危ない立場にあればあればなおさらである。また、だれでも、記憶や自分の気持ちも、状況に応じて、捏造するものかも知れない。
いや、そんな理屈より、追い詰められた依頼人が一歩一歩真実を話さなくてはならなくなる展開に引き込まれていく。特に最後の三分の一ぐらいの展開は、見事だった。
前半がややかったるいのと、積み上げた証拠に少し強引なところがあるかな、と思われたので★四つ。しかし、もう一度見直してみたいという気にさせる作品である。
脚本のみならず、演技、演出を含め、よくこれだけ組み立てるものだ、と感心した。
