「内部留保を取り崩せ」という主張のおかしさ、補足。

ついでに書いておくと、リーマンショックの時にいわゆる派遣切りの問題が出て、「内部留保を取りくずして、派遣社員を雇い続けろ」という政治家がいたわけだが、聞いていて、アホかと思ったものだ。別に「資本家」の味方をしているわけではない、弱小「労働者」の一人だが、企業が恐慌時に自己の存続をはかるために支出を抑えようとし、法律の範囲内で派遣社員の契約を終了するのは当然の経済行為ではないか。もちろん、違法な派遣切りは責められるべきだし、さらに経営者の判断で、仕事が減っても雇用を維持した会社があることも知っている。しかしそれはそれぞれの企業の責任で行う経営判断であって、政治家が命じるようなものではない。もし派遣社員の雇用不安というものが顕在化するなら、それは社会政策的な課題であって、国権の最高機関たる国会で議論して立法措置によって対応するべきだ。重ねて言うけれど、企業の派遣切りを無条件に肯定しているわけではない。私企業は生き延びるために必死の対応をするのであって、国会議員が社会政策的課題を企業に押しつけるな、と言いたいのである。さらに念のために言うと、雇用の確保はとても大事な企業の使命である。であると同時に、利益を出していくことも、企業存続の必要条件なのである。