人生を繰り返したいか

今月の、日経新聞私の履歴書」はトニー・ブレアである。若くして英国労働党党首、首相となり、約十年つとめた。現在でもまだ58歳と若い。
 幾つか印象に残る言葉があったが、一つは、彼が大学生ぐらいの時になくなった母親の言葉。亡くなる間際の母に、ブレアは、もう一度人生を繰り返したいか、と問うと、母はNOと応える。幸せではなかったのか?と聞くと、幸せだった。でも本当につらい思いもしたから、人生を繰り返すのは絶対に嫌。と応えたという。
 わざわざ書くくらいだから、ブレア自身にも印象に残った言葉なのだろう。僕自身は、脳天気なのか、そこまで突き詰めて考えられないのか、もう人生を繰り返さなくてもいい、死んだら死にきりでいい、と言う自信がないし、そう言い切る人に驚きを覚えてしまう。
 そのあたりが、おそらくぼくの考えの甘いところで、考えを詰め切れないと言うことなのかもしれない。繰り返すなら繰り返すで、ニーチェ永劫回帰と言うようなところまで突き詰められなければダメなような。
 ふわふわと人生を生きて、死んで行ってしまいそうな気がする。
 人生を繰り返したいか?
 今はその答えは棚上げして、今できること、したいことに集中して突き詰めていくことがひいては、答えを見いだせる手がかりにもなるのだという気がする。