世間では、もしかしたら一種の古典ブーム、哲学ブームが起きていて、その一環としてもしかしたら、論語も結構読まれているのかもしれない。優しく解釈したバージョンも本屋でよく見かけるしね。
実は数年前から、僕も論語を読んで、結構はまっている。定番と言うべき岩波文庫「論語」、宮崎市定著の岩波現代文庫版「論語」も読んだ。そして、今回、井上靖著「孔子」を読んだ。
これはもらった本であったし、小説であるので、気楽に読んだ。まあ、今までの本だって気楽に読んでいるわけだが。
主人公は架空の弟子、最初と最後はその主人公が孔子に出会ってともに旅する場面と40年ほど後にその後をなぞるような旅をする部分が小説的と言えば小説的だが、その間は、ほとんど、論語のなかの言葉の解釈です。天命とは?とかね。
作者が主人公に託した解釈の是非はここでは問いません。立派な物だし、それなりに納得できる物です。しかし、論語の解釈は読者それぞれにあってよいものとも思います。
作者83歳の最後の作品であり、くどいほどに同じことを書く部分など、年かな、と思う部分も有るけれど、流れるような文体はさすがです。今これほどの格調高い文章をかける作者はない、と断言。
そのような井上靖文学そのものへのいとおしさを感じた作品でした。
- 作者: 井上靖
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/11/30
- メディア: 文庫
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